中古車でバイクを購入しようとした時、同じ車両でも走行距離によって価格は大きく異なります。
たとえ高額なバイクであっても、走行距離が多い車両であれば相場よりも安く購入することができるので、ワンランク上のバイクを購入したり、余った予算をカスタムに充てることもできます。
しかし、そんな時に気になるのが「バイクのエンジンの寿命」ですよね!
また、現在バイクを所有している方で「走行距離が伸びてきた」と感じている方も、走行距離によってバイクを買い替えた方がいいのか?乗り続けることができるのか?は気になるところではないでしょうか?
今回はバイクの走行距離とエンジンの寿命について解説していきます。
自動車は10万キロが目安だと言われてるし、バイクはどれくらい走る事ができるの?
自動車もバイクもエンジンが主体なので、目安は必要です。ただ、乗り方や環境は人によって異なるため、全部が目安に当てはまるわけではありません。
- バイクの走行距離による寿命はどれくらい?
- 使用用途により寿命は異なる!
- バイクを長持ちさせるためのポイントとは?
走行距離による寿命はない
結論から言うと、バイクの走行距離によって寿命が訪れることはありません!
一般的に言われている走行距離による寿命は、車体やエンジン自体が壊れてしまうということではなく、一定の走行距離に達することで消耗品の交換頻度が多くなり、メンテナンスにかかる費用がバイクの車両価値を上回ることを指します。
走行距離の目安としては、小排気量車や2stエンジン車は約5万キロ・大排気量車や4stエンジン車は約10万キロがバイクのエンジンの限界だと言われており、中古車市場においても上記の走行距離をオーバーする車両は比較的安い価格設定になっていることが多いです。
一般的な走行距離の目安が設けられた理由として、エンジンタイプや排気量の違いにより消耗品の発生頻度が異なることが挙げられます。
2stエンジンや小排気量のバイクは高回転での走行が主となります。
エンジンは高回転になればなるほど負荷が大きくなるため、消耗品の発生頻度が多くなるのです。
一方で4stエンジンや大排気量のバイクは中低速を多用する仕様になっているため、エンジンへの負担が比較的軽く、2stエンジンに比べて長く使用することが出来ます。
それでも10万キロを超えてくるとエンジン内部の摩耗により消耗品の発生頻度が多くなることから、走行距離の目安ができたと言えます。
このように、走行距離による寿命と言うのは消耗品の交換頻度が多くなるタイミングを目安としており、バイクが故障して乗れなくなることを表した表現ではないのです。
たとえば、原付バイクなど小型バイクは一般的に5万キロが寿命とされていますが、郵便配達員や新聞配達員が業務使用している原付バイクや小型バイクは、車体やエンジンに負担がかかるストップ&ゴーを多用しているにも関わらず、15万キロ以上の走行距離でも現役で活躍しているバイクもあります。
あくまで走行距離は一つの目安であって、バイク自体の走行距離による寿命は無いと言えるでしょう。
バイクは乗り方でも寿命が変わる
バイクは乗り方や使用用途でも寿命が変わってきます。
例えば、毎日の通勤でで20,000キロ走行した車両と、週末のロングツーリングで20,000キロ走行した車両では、バイクへの負担は大きく異なります。
市街地走行による短距離のストップ&ゴーの繰り返しは、放熱が間に合わずエンジンにとって大きな負担となりますが、高速巡回などで一定のアクセル開度による長距離巡行は、走行風による冷却効果の作用により、エンジンへの負担は軽減されます。
たとえ、同じ走行距離の同じバイクであっても、乗り方や使用用途によりエンジンや各パーツの傷み具合は全く異なってくるのです。
また、バイクは乗らずに長期保管するよりも、適度に乗ってエンジンを回しているほうが長持ちします。
エンジン内には鉄の部品が多用されているため、長時間放置することで酸化が進み錆びてきます。
また、スラッジやカーボンが乾燥してエンジン内で固着してしまうこともあります。
錆や固着したカーボンはエンジンを始動した際にスムーズな動作を妨げてしまい、パーツの損傷を引き起こします。
そのため、バイクは乗らずに長期保管するよりも、適度にエンジンを回している方がコンディションを維持しやすくなるのです。
また、バイクは種類によってエンジンの機構や使用しているパーツの耐久性が異なるため、バイクのフィールドや特性に合った使用をする必要があります。
例えば、サーキットを走行するためには高回転を維持できるだけの耐久性があるエンジンと、激しい加減速に耐えることができるフレームが必要になります。
SSのようにサーキットでの全開走行を想定して作ってあるバイクには大きな負担となりませんが、クラッシックバイクなど街中を低速でのんびり楽しむバイクにとっては大きな負担になってしまいます。
他にも小型バイクや原付バイクは、排気量の小ささから高回転での走行を想定して作ってあるため、低回転を維持して走る方がエンジンに負荷がかかってしまいます。
コンディションを長く維持するためにも、負担を強いるような走行ではなくフィールドや特性に合った走行をする必要があるのです。
バイクの寿命はメンテナンス次第
バイクの寿命を最も短くする原因は多走行ではなく、メンテナンス怠ることです。
15万キロ以上も走ることができる小型バイクは、こまめなオイル管理や消耗品の交換など、しっかりとメンテナンスが行き届いています。
逆に走行距離が少ない車両であっても、メンテナンスを怠ってしまうと故障は発生しやすくなってしまいます。
例えば、エンジンオイルをメーカー指定距離で交換していなかったり、異音や白煙・黒煙の排気など普段と違う異変を放置しておいたりすると、後で重大な故障に繋がる可能性があります。
バイクを長く使用するために最も重要なことは日々のメンテナンスです。
乗っていて何か普段と違う異変を感じた場合には、必ずバイクショップなどプロのメカニックに診断してもらいましょう。
また、異変が起きていなくてもバイクショップなどで定期的な点検を受けることで、故障を未然に防いだり、問題を事前に発見することに繋がります。
バイクの寿命を延ばすためにも、定期点検や消耗品の交換をこまめに行うことで、一般的な目安を遥かにしのぐ寿命を維持することができるのです。
自分でできるバイクのメンテナンスとは?
バイクを長く使用するために必要なメンテナンスですが、使用する度にバイクショップでメンテナンスを行うのは金銭的にも時間的にも現実的ではありませんよね!
交換を要する作業ではない場合は、バイクショップに行かなくても自分でメンテナンスを実施することができます。
ここでは、自分で容易にメンテナンスが行える箇所を5つご紹介いたします。
- エンジンオイルのチェック
- エアフィルターの清掃
- タイヤ&空気圧のチェック
- チェーンのメンテナンス
- ブレーキフルード・パッドの残量確認
エンジンオイルのチェック
オイルはエンジンの内部部品を潤滑し、冷却するために重要な役割を果たしているので、エンジンの健康状態を確認する最も有効な手段です。
オイルのレベルゲージやレベル点検窓で量と色を確認し、レベルに対して量が少ない場合は適量まで継ぎ足します。
汚れがひどい場合は走行せずにオイルを交換しましょう。
オイルの継ぎ足しや交換作業が自宅でできない場合は、近くのバイクショップで実施してください。
オイルを確認する際は、センタースタンドやジャッキを使用して道路に対して平行な状態で確認するようにしましょう。
バイク用のジャッキはメンテナンスや洗車など様々な用途で使用できるため、一つ持っておくことをおススメします!
エアフィルターの清掃
エアフィルターは、エンジンに取り込まれる空気をきれいにするために使用されます。エアフィルターは、泥や塵などの異物を取り除くために定期的に清掃する必要があります。
エアフィルターはバイクによって乾式・湿式とタイプが2種類あり、メンテナンス方法も異なります。
ご自身のバイクに装着されているエアフィルターを確認して、適切な清掃を行ってください。
タイヤ&空気圧のチェック
タイヤは、オートバイの乗り心地や安全性に直接影響を与える部品です重要な部品です。タイヤの空気圧や溝の深さを定期的にチェックし、必要に応じて交換する必要があります。
チェーンのメンテナンス
チェーンは、パワーをエンジンから後輪に伝えるために使用されます。チェーンが張りすぎたり緩すぎたりすると、走行中に外れたり切れたりして大きな事故につながる可能性もあります。チェーンは定期的に清掃し、適切なテンションを保つ必要があります。
チェーンを清掃する際はチェーンルブに付属しているブラシを使用するよりも、専用のブラシを使用する方が簡単で、綺麗に仕上げることができます!
ブレーキフルード・パッドの残量確認
ブレーキは、オートバイの安全性に大きく影響を与える重要な部品です。ブレーキパッドやブレーキフルードの状態を定期的にチェックし、必要に応じて交換する必要があります。
一般的にブレーキフルードは10,000キロ毎、もしくは2年毎の交換が推奨されています。
400cc以上の車両は2年毎に車検があるので、車検時に交換で問題ありません。
また、ブレーキフルードはマスターシリンダーに付いているフルードの小窓から量や色を確認することができます。
ブレーキフルードは劣化に伴い茶色く変色していくので、濁ってきたと感じたら交換するようにしましょう。
ブレーキパッドの残量は目視で確認することができます。
ただ、ブレーキパッドの残量が残っていても走行中にブレーキ鳴きなどの異音が発生する場合は、ブレーキにおける様々な要因が考えられるため、早めにバイクショップで点検してもらいましょう。
バイクを長持ちさせるポイント
バイクのエンジンは、乗り手の運転方法やメンテナンスの仕方によって寿命が左右されます。
バイクの種類やメーカーによっても寿命に差がありますが、一般的には適切なケアを行うことで長期間の使用が可能になります。しかし、逆に適切なケアが怠られるとエンジンにダメージを与え、寿命を短くしてしまうことがあります。
ここまでの内容をおさらいしてバイクを長持ちさせるポイントとして以下にまとめてみます。
- 適切な乗り方でエンジン寿命を延ばす
- 適切なメンテナンスでエンジン寿命を延ばす
- エンジン寿命を短くしてしまう避けるべき行為
適切な乗り方でエンジン寿命を延ばす
- バイクの特性やフィールドに合った乗り方をする
- 過剰な負荷をかけない運転方法を心がける
- 長距離走行を行う際には、適宜休憩を取る
適切なメンテナンスでエンジン寿命を延ばす
- 定期的にメンテナンスを行い調子を確認する
- 適切な時期で消耗品を交換する
- こまめな清掃や調整を施す
エンジン寿命を短くしてしまう避けるべき行為
- 過剰な加速やブレーキングを行う
- 持続してエンジンが高負荷になるような運転を行う
- 長期間の放置や不適切な保管をする
まとめ
今回はバイクの寿命と長持ちさせるポイントについてご案内いたしました。
私自身、長年バイクに乗っており様々なトラブルを経験してきましが、メンテナンスさえ怠っていなければ、バイクに走行距離の寿命は無いと思っています。
例え、焼き付きなどの大きな故障が発生しても、高額にはなりますが修理自体は可能ですし、どうしようもないエンジンの故障だった場合、エンジン自体を載せ替えることもできます。
私が過去に乗り換えたバイクで6万㎞以上走っていた中古車のシャドウ400は、前オーナーの手入れが行き届いていましたので、とても調子良く快適に乗れていました。
一方で、その前に所有していた800㎞しか走っていない試乗車上がりのCB400SBは、オイル漏れや吹き上がりの不調など、トラブルが頻繁に発生していたのです。
もちろん、個体差や機構の違いもあるとは思いますが、走行距離でエンジンの良し悪しは決められないという事です。
バイクは趣向的な要素が強い乗り物なので、業務仕様のバイクの様に15万キロ以上を趣味で走ることは中々ありません。実際は走れなくなるまで乗りつぶすことも少ないため、走行距離による寿命を気にする必要はないでしょう。
コメント
コメント一覧 (2件)
今日信号待ちで隣に初代スカイウェイブが止まり、自分も歴代スカブーを乗り継いで来てSJタイプを10万キロ超えで乗っているんですが、話しかけてみたらその方のスカブーは26万キロ走っているそうです。見た目もさほどボロくなっておらず、バイクををこよなく愛し大切に乗られているのだなと驚いた次第です。
自分も乗り潰すつもりでコレからも走らせていきたいと思いました。
コメントありがとうございます。
26万キロは凄いですね!
歴代スカブー+SJ10万キロとのことで、バイク愛が伝わります。
私もスカブーでツーリングやカスタムなど沢山楽しませてもらいました。
本当にいいバイクだと思います。
バイクに走行距離による寿命はありません!
今まで通り、手厚いメンテナンスで長く乗ってあげてください。